2026.04.20
SaaS Harbor イベントレポート #1 「本番提供できる品質へ:SaaSにAI機能を実装するまでのリアル」

皆さんこんにちは!SaaS Harbor運営です。
この度、新コミュニティ「SaaS Harbor」として出航いたしました!
今回は、2026年3月25日(水)に開催された「AI機能を本番提供するまでのリアル」の模様をレポートします。AIという荒波を、SaaSエンジニアたちがどう乗りこなそうとしているのか。その知見を凝縮してお届けします!
1. SaaS Harborについて
「SaaS Harbor(サース・ハーバー)」は、B2B SaaSに関わる人々が知見を分かち合うためのコミュニティです。
B2B SaaSは単なるソフトウェアではなく、業界のベストプラクティスが詰まった「知の体系」です。その知を届け続ける挑戦は、時に一人では乗り越えがたい過酷で孤独な航海になりがちです。私たちは、そんな孤独な課題解決を終わらせ、「意志ある人々が知見を分かち合いながら進む航海」へと変えていくことを目指しています。
connpass:https://saas-harbor.connpass.com

2. 「AI機能を本番提供するまでのリアル」概要
第1回では、AIの実装・運用において国内最前線を走る3名にご登壇いただき、PoC(概念実証)の壁を越えて「本番品質」へと昇華させるための苦労と解決策について、現場の生の声をお聞かせいただきました。
・開催日:2026年3月25日(水)
・テーマ:本番提供できる品質へ:SaaSにAI機能を実装するまでのリアル
・登壇者:
・株式会社LayerX an さん
・株式会社SmartHR 金岡 亮 さん
・株式会社はてな noy72 さん
初回から非常に多くの方に「寄港」いただき、SaaS×AI領域への関心の高さを改めて実感するスタートとなりました。

3. セッション内容のご紹介
セッション1:LLMに何を任せ、何を任せないか
株式会社LayerX バクラク事業部 エンジニア an さん
anさんからは、LLM導入における「品質の壁」をどう乗り越えるかという、非常に実践的なお話をいただきました。
【プロフィール】
新卒でITコンサルに入社し、金融機関・保険会社など向けの受託開発に従事。その後SalesforceにてCSを経験。再びエンジニアとして開発に携わった後、2025年にLayerXへ入社し、バクラク申請・経費精算の開発に携わっている。稀にいるCSS好き。
【セッション概要】
・LLM導入における課題
PoCでは高精度に見えても、本番では「先祖返り」的な誤入力など、低頻度ながら致命的なミスが課題に。プロンプト調整だけでは限界がある点が指摘されました。
・解決アプローチ:適材適所の設計
・決定値を使用: 確実性が求められる項目(支払方法等)は既存データを利用。
・LLMを活用: ミスが許容される推測項目(カテゴリ推定等)に限定。
・空欄にする: 不確実かつ誤りが許されない項目は自動入力をしない。

セッション2:Wowを産むAI開発のプロセスを作るまで
株式会社SmartHR AIプロダクトマネージャー / Head of AI 金岡 亮 さん
金岡さんには、急拡大するAIチーム(現在約20名!)の組織変遷と、開発プロセスのガードレールについてお話しいただきました。
【プロフィール】
2020年10月にSmartHRに入社。タレントマネジメントプロダクト(従業員サーベイ、スキル管理、学習管理)、プロダクトグロースチームの立ち上げを経験したのち、2024年8月からプロダクトへのAI導入の責任者。前職はAI特化の受託開発企業でプロジェクトマネージャーやデータアナリストを担当。
【セッション概要】
・組織の進化プロセス
・API導入期: 横断的に共通APIを提供(ノウハウ蓄積)。
・プロダクト開発期: AI主軸の独自プロダクトを開発(大きな価値創出)。
・現在(ハイブリッド型): AIエージェント時代に向け、横断チーム(基盤)と各事業チーム(自律開発)を分離・連携。
・品質を担保する「ガードレール」
オフライン評価、プロトタイピング、ユーザーテストをプロセスに組み込むことで、スピードと品質を両立させている点がSmartHR流の強みです。

セッション3:AI機能を持つマルチテナントSaaSの開発で直面した課題
株式会社はてな エンジニアリングマネージャー noy72さん
noy72さんからは、SaaSならではの「マルチテナント環境」におけるAI運用の技術的なハードルについて深掘りしていただきました。
【プロフィール】
2021年4月に株式会社はてなへ入社し、ビジネスプラットフォームチームに配属。2023年10月より toitta チームに配属され、プロダクト開発に携わっている。
【セッション概要】
・直面する3つの壁
・レートリミット: API制限(RPM/TPM)に対する流量制御やリトライの仕組み。
・ノイジーネイバー問題: 特定ユーザーの過負荷が他社に影響しないためのジョブ管理。
・フォールバック: 障害時のリージョン・モデル切り替え戦略(品質低下とのトレードオフ)。
・運用のポイント
「AI機能を継続的に安定稼働させるためには、アクセス量や障害時の代替手段といった観点を、あらかじめ設計へ組み込むことが重要である」と締めくくられました。

4. 懇親会
セッション終了後には、約80分間の懇親会を実施しました。
会場では職人によるライブ握り寿司をご用意し、お酒やソフトドリンクとともに、会場全体がゆったりとした和やかな雰囲気に包まれていました。目の前で握られたお寿司に自然と人が集まり、会話のきっかけが生まれていく様子がとても印象的でした。
当日は、運営からお声がけさせていただく場面もあり、初めてご参加いただいた方同士でも、少しずつ会話が広がっていく様子が見られました。また、立ち話だけでなく、同じテーブルを囲んでじっくり話されている場面も多く、それぞれのペースで交流を楽しまれていました。
会話の中では、直前のセッションに関する感想や気づきの共有に加え、普段の業務や取り組みについての情報交換なども行われており、単なる交流にとどまらず、新たな学びや気づきにつながる時間となっていました。
全体として、リラックスした雰囲気の中で無理なくつながりが生まれ、SaaS Harborならではのあたたかさを感じていただける懇親会となりました。
5. 今後のイベントのお知らせ

SaaS Harbor は、ここからさらに加速していきます。次回の寄港予定は以下の通りです!
・第2寄港「B2B SaaSの認証認可の変遷 — 事業成長が迫る基盤移行のリアル —」
・日時: 2026年5月20日(水)19:00 - 20:30
・形式: オンラインセッション
・申し込みはこちら:https://saas-harbor.connpass.com/event/389591/
・AWS Summit Japan 2026 Silver スポンサーとして出展
・日時: 2026年6月25日・26日
・ブース:P028
・申込みのご案内:
①公式サイトからログイン:https://aws.amazon.com/jp/events/summits/japan/
③登録コードを入力 【登録コード:SPC1219926】
また、継続的な交流の場としてDiscordもご案内しています。こちらもぜひご参加ください。
Discord:https://discord.gg/B48ActDjtv
皆さまの「航海」がより実りあるものになるよう、これからも最高の知見が集まる港を作っていきます。
次回のイベントでお待ちしております!
⚓ SaaS Harbor 運営チーム一同


